家屋の玄関扉一つをとっても国によって文化的な違いがでます。
今では日本でも引き戸よりドアが一般的ですが、元来ドアを使ってきた欧米が内開きなのに対して日本は外開き。なぜなんでしょうか?
まず、海外(特に欧米)のドアが内開きである理由ですが、これは防犯上の理由からだといわれています。
不審者が無理やり中に入ってこようとしたとき、内開きのドアなら全体重をかけてドアを押して閉め、さらに家具を立て掛けるなどすれば、侵入を防ぐことができるからです。
では日本ではなぜ外開きなのでしょうか?
ご存知の方も多いと思いますが、もっとも大きな理由は、日本では玄関で靴を脱ぐ習慣があるからです。
もし内側にドアが開いてしまうと、脱いだ靴などが邪魔をして開閉がとても不便です。お気に入りの靴が潰されてしまうこともあるでしょう。たたき(履物を脱ぐ場所)が狭くなり、靴を脱ぐことも難しくなりますね。そこで、限られた玄関のスペースを最大限に利用する考えから外開きのドアになったといわれています。
また一方で、ドアに付着した雨やホコリなどのゴミも、外開きにすることで室内への侵入を防ぐことができます。雨が続いたり台風がやってくる日本の気候からも理に適っているといえます。
欧米で防犯が理由とされたのに、それが日本ではあまり大きな理由とならなかったのは、ドアが普及した頃の日本の文化が関係しているのかもしれません。かつては玄関に鍵をかけることなく出かけ、また近所の誰もが気軽にお邪魔するのが当たり前でした。そうした「安全」が前提のころには、防犯よりも靴を脱いで家に上がる習慣の方が重要だった、ということかもしれません。
ちなみに日本でも違う理由で古くから内開きのドアを採用している例があるのをご存知でしょうか? それは公共のホテルやオフィスビルなどです。これは防災時に避難経路の妨げにならないよう通路側にはドアが開かないようにしているそうです。ドアの開き方ひとつにも、それぞれ深い理由があるようです。
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